2026年10月05日
私の人生
最近、ドラマや映画を観ていると、以前とは少し違ったところで心が動くことがあります。
主人公が人生の途中で立ち止まり、
「私は、本当はどうしたかったのだろう」
と自分に問いかける場面。
家族のために生きてきた人が、自分の人生をもう一度考え始める場面。
そんな場面を観ていると、なぜか他人事には思えなくて、
「私も、自分の人生について考える時期なのかもしれない」
と思うようになりました。
振り返れば、私はこれまで、いろいろな人生を生きてきました。
金融業に勤めていた時期がありました。
結婚して、夫の仕事について海外で暮らした時期もありました。
妻になり、母になり、子どもたちを育てながら、家庭のことを考えてきました。
そして、カウンセラーとして、多くの人の人生に出会ってきました。
人には、それぞれの人生があります。
夫婦のこと。
親子のこと。
仕事のこと。
「どうしてこんなことになってしまったのだろう」と涙を流す人。
「本当はこうしたいのに、できない」と悩む人。
「このままの人生でいいのだろうか」と立ち止まる人。
私は、そんな人たちの話を聴きながら、一緒に考えてきました。
でも、ふと思うのです。
人の人生について考えることはたくさんしてきたけれど、
私は、自分自身の人生を、どれくらい自分のために考えてきただろう、と。
母親になれば、子どもの幸せを願います。
子どもが困っていれば助けたい。
苦しんでいれば、何とかしてあげたい。
それは今でも変わりません。
きっと、これからも変わらないと思います。
でも、子どもたちには子どもたちの人生があります。
そして、私には私の人生があります。
それを、少しずつ受け入れられるようになりました。
母親だから、こうしなければいけない。
妻だから、こうしなければいけない。
仕事をしているのだから、こうあるべき。
年齢を重ねたのだから、こう生きるべき。
いつの間にか、そんな「こうあるべき」に囲まれて、自分の気持ちを後回しにしてしまうことがあります。
でも人生は、誰かの期待に応えるためだけにあるものではないのでしょう。
自分が笑える時間があっていい。
好きな人と過ごす時間があっていい。
行きたい場所へ行ってもいい。
美味しいものを食べてもいい。
仕事をして、誰かの役に立つことを喜んでもいい。
そして、何もせず、ぼんやり過ごす日があってもいい。
私はこれまで、たくさんのものを背負ってきたように思います。
もちろん、背負ったことを後悔しているわけではありません。
子どもたちを育ててきたことも。
家族のために悩んだことも。
仕事を続けてきたことも。
海外で暮らした経験も。
人の心に向き合ってきたことも。
そのすべてが、今の私をつくっています。
そして、これからは少しだけ、
「私自身の人生も大切にしていいよ」
と言ってあげたいのです。
年齢を重ねると、残された時間を意識するようになります。
若い頃には、「これから何十年もある」と思っていました。
今は、人生が永遠ではないことを知っています。
だからこそ、一日一日を大切にしたい。
いつかではなく、できることは今しておきたい。
会いたい人には会いたい。
行きたいところには行きたい。
伝えたいことは、伝えられるうちに伝えたい。
そして何より、
「私は私の人生を生きた」
と思える人生にしたい。
子どものためだけではない。
誰かのためだけでもない。
誰かに必要とされるためだけでもない。
一人の女性として、
「私は、こう生きたかった」
と思える人生を、これからも少しずつ選んでいきたいと思っています。
もちろん、これからも迷うでしょう。
誰かを心配して、また自分のことを後回しにする日もあると思います。
それでいいのだと思います。
完璧に自分中心に生きる必要などありません。
人を大切にしながら、自分も大切にする。
誰かを愛しながら、自分の人生も愛する。
そのバランスを、これからゆっくり探していけばいい。
ドラマや映画の中の人生を観ながら、私は今日も、自分の人生を振り返っています。
そして、少しだけ未来を想像します。
これから私は、何を見て、誰と笑って、どこへ行って、どんな時間を過ごすのだろう。
まだ、答えはわかりません。
でも、それでいい。
人生の後半に、「まだわからない」と思えることがあるのは、案外素敵なことなのかもしれません。
まだ、決まっていない。
まだ、選べる。
まだ、人生は続いている。
だから私は、これからも自分に問いかけながら歩いていきたいと思います。
「私は、これからどう生きたい?」
子どものためだけではなく。
家族のためだけではなく。
誰かのためだけではなく。
これからは、私の人生も、ちゃんと生きていきたい。
そう思えるようになったことを、私は今、とても大切に思っています。
2026年09月02日
9月になれば
暦の上では秋になりました。
まだまだ暑い日が続いていて、秋という言葉が少し遠く感じられるけれど、朝夕の風や、日の暮れる早さに、少しずつ季節が変わっていることを感じます。
9月になると、私はいつも少し立ち止まりたくなります。
今年も、もう三分の二が過ぎたのだと思うからです。
年の初めには、
「今年はこうしよう」
「こんな一年にしたい」
と思っていたことも、いつの間にか忘れてしまっていたりする。
思い通りになったことより、
思い通りにならなかったことのほうが、心に残っていることもあります。
けれど、少し考えてみると、
思い通りにならなかったことの中にも、
その時の自分なりに精一杯生きてきた時間があるのだと思います。
誰かのために頑張った日。
家族のことで悩んだ日。
嬉しくて笑った日。
どうしていいかわからず、ひとりで泣いた日。
そして、
「もう少し頑張らなくてはいけない」
と、自分を励まし続けた日。
どれも、その時の自分にとっては大切な一日だったのです。
私たちはつい、
「もっとできたはず」
「もっと優しくすればよかった」
「もっと頑張ればよかった」
と、自分に足りなかったものを探してしまいます。
でも、本当は、
「あの時の私は、あれで精一杯だった」
と認めてあげてもいいのではないでしょうか。
人生は、いつからでも少しずつ変えていける。
けれど、過去の自分を責め続けていると、
今の自分が幸せになることまで難しくしてしまいます。
9月。
夏の賑やかさが少しずつ静かになり、
秋の気配が近づいてくるこの季節に、
私は自分自身にも言ってあげたいと思います。
「ここまで、よく頑張ってきたね」と。
そして、これからは、
誰かのためだけではなく、
自分のためにも時間を使っていい。
嬉しいことがあれば、素直に喜んでいい。
寂しいときは、寂しいと言っていい。
疲れたら、立ち止まっていい。
人生は、何歳になっても終わりではありません。
むしろ、いろいろな経験をしてきたからこそ、
これから見える景色もあるのだと思います。
9月の風が、少し涼しくなった頃。
今年の残りの日々を、
「まだこんなにある」と思うのか、
「もうこれしかない」と思うのか。
私は、
「まだまだ、やりたいことがある」
と思っていたい。
大きなことではなくてもいい。
美味しいものを食べて、
好きな人と笑って、
行きたい場所へ行って、
心が動くものに出会って。
そして時々、
自分の心の声にも耳を傾けながら。
秋は、少しずつ深まっていきます。
私たちの人生も、
若い頃とは違う色に変わっていく。
その色を、
「老い」ではなく、
「これまで生きてきた証」として、
これからも大切にしていきたいと思います。
9月。
新しい季節の始まりに、
皆さんも少しだけ自分に優しくできますように。
そして、
今年の残りの日々が、
皆さんにとって穏やかで、心あたたまる時間になりますように。
2026年08月22日
新たな自立
先日、娘達家族と旅行に出かけてきました。
母親になった娘達との時間は沢山の事に気づかされた時間でもありました。
それぞれの夫婦の価値観の違い
子供に対する関わり方の違い
夫婦の在り方の違い
生き方の違い
将来に対する考え方の違い
長い間、二人の娘に対して
なるべく平等に、
それぞれの性格や個性に合わせながらも
同じように育ててきたつもりでいましたが
それが全く違う二つの家庭として存在していました。
それぞれの娘が就職をして、結婚をして、妻になり、母になって
あれから10年以上が経ち
その中で、私から完全に巣立って新しい家族の中で生きて行っています。
その個々の家庭の在り方が
私の想像を超えてあまりにも違うことに少し戸惑ったりもしました。
子育て一つにしてもそうですし
お金の使い方や、楽しみ方、
生活の仕方、全てが大きく違いました。
そして、私の関わり方も大きく変わりました。
子供達夫婦として、まとめて一緒に見ることはなくなり
それぞれ別のスタイルの形として
尊重することが増えて
「普通」はという感覚さえも減っていきました。
それが少し寂しく感じたり、困惑したりしながらも
いわない方が良いことや、
だまっていることが当たり前になりながら
それぞれの家庭に対して
言葉を選び、気をつけることが大切であると気づくようになりました。
今までの様に、親としての意見や考えを伝えることを辞めて
あくまでも今の「私」として
話すことが多くなりました。
これが本来の「自立」なのだと考えるようになりました。
いい関係を維持するということは
一度引いて相手の考えや生き方をまず聴いて
今までのような支え方を卒業して
必要とされたときだけに応えて
後はひたすら見守ることが
新しい親子の関係なのだとおもいました。
私はいつまでも子供の娘達を守りたいと思ってきましたが、
それは私の自己満足であり
娘達はもう私の支えよりも、
彼女達は彼女達の「夫婦の支え合い方」を何よりも大事にしているのだと
心から感じました。
私は、これからの私の生き方をもっと大切にして
自立した強さを築いていく必要があるようです。
そんな事を強く感じた時間でもありました。
2026年07月21日
ワールドカップが終わって
ワールドカップの39日間が幕を下ろしました。
この期間は、本当に不思議と心が躍りました。
テレビの前で応援しながら、選手たちの真剣な表情や、試合後の涙に心を動かされました。
ワールドカップは単なるスポーツの大会ではありませんでした。
そこには、それぞれの選手の人生がありました。
幼い頃からボールを追いかけてきた日々。
思うような結果が出なかった時期。
けがや挫折を乗り越えてきた時間。
たった90分の試合の中に、何年もの努力や思いが詰まっています。
だからこそ、私たちは感動するのでしょう。
私は年齢を重ねるにつれて、
勝ち負けだけではなく、その背景にある物語に目が向くようになりました。
華やかなゴールの瞬間も素晴らしいけれど、ベンチで仲間を支える選手や、試合に出られなくてもチームのために力を尽くす人の姿にも心を打たれました。
人生も同じかもしれません。
表に見える結果だけがすべてではなく、その人が歩んできた道のりにこそ価値があるのだと思います。
世界中の人々が一つのボールを追いかける選手たちに声援を送る。
言葉や文化の違いを超えて、同じ瞬間に歓声を上げたり、ため息をついたりする。
その光景を見るたびに、人と人をつなぐ力の大きさを感じました。
日々のニュースを見ると、争いや分断の話題も少なくありません。
だからこそ、スポーツが与えてくれる希望や一体感は貴重なものだったと思います。
今回のワールドカップでも、たくさんのドラマが生まれました。
勝者の笑顔も、敗者の涙も、そのすべてが人間らしくて美しい。
そんなことを思いながら、
終わった後も今も、日本代表にエールを送りたいと思います。
ありがとうございました。
そして、世界中の選手たちへ
たくさんの感動をありがとう。
たくさんの勇気と覚悟と信念を学ばせていただきました。
あの感動を忘れないでいたいと思います。
2026年07月13日
マイケルジャクソンを想って
先日、映画『マイケル』を観てきました。
ラストステージを目前に控えながら、この世を去ったマイケル・ジャクソン。
その死は、鎮静作用のある薬剤などの過剰投与による急性中毒とされています。
世界中から愛され、成功も名声も手にした彼が、なぜそこまで薬を必要としなければならなかったのでしょう。
映画を観終えたあと、私の心に残ったのは、そんな問いでした。
寝れない不安
誰にも見せられない孤独
完璧も求められる日々
もしかしたら、彼に本当に必要だったのは薬ではなく、安心して眠れる場所や、「大丈夫だよ」と抱きしめてくれる誰かのぬくもりだったのではないか……。
そんなことを思わずにはいられませんでした。
世界中の人々を魅了し、「キング・オブ・ポップ」と呼ばれたマイケル・ジャクソン。
私は彼の華やかなステージの姿よりも、一人の少年として生きた時間が、とても心に残りました。
幼い頃から厳しい父親のもとで育ち、普通の子どものように遊び、甘え、失敗しながら成長する時間はほとんどありませんでした。
「もっと頑張れ。」
そんな環境の中で生きてきた子どもの心は、どれほど寂しかったのでしょう。
カウンセリングをしていると、幼少期の体験が大人になってからの生きづらさにつながっている方と、たくさん出会います。
子どもの頃に十分に愛されたと感じられなかった人。
親の期待に答え続けなくてはならずに
いつも「いい子」でなくてはならなかった人。
大人になれば忘れられると思っていても、心はちゃんと覚えています。
映画の中のマイケルも、世界中から拍手を受ける一方で、心のどこかに消えない孤独を抱えていたように感じました。
どれだけ成功しても、お金があっても、名声を手にしても、人の心が本当に求めているものは、
「ありのままの自分を愛してもらえる安心感」なのかもしれません。
そして、私がもう一つ印象に残ったのは、父親との複雑な関係がありながらも、家族を大切に思い続けていたことです。
傷ついた経験があるから、人を愛せなくなるとは限りません。
むしろ、傷ついた人ほど、「自分と同じ思いをさせたくない」と願い、精いっぱい人を愛そうとします。
でも、その優しさゆえに、自分の心を置き去りにしてしまうこともあります。
私はいつも思います。
カウンセリングとは、「過去を変えること」ではなく、
「過去に傷ついた自分を、今の自分が迎えに行く時間」なのだと。
「あの時、本当は寂しかったね。」
「よく頑張ってきたね。」
そんな言葉を、自分自身にかけられたとき、人の心は少しずつ癒えていきます。
映画『マイケル』は、一人のスターの成功物語ではありませんでした。
それは、一人の少年が愛を求め続け、
自分らしく生きようともがいた人生の物語だったように思います。
映画を観終わった帰り道、私はふと考えました。
私たちは誰もが、大人になっても心の中に小さな子どもを抱えて生きています。
だからこそ、自分にも、大切な人にも、少しだけ優しくなれたらいい。
そんなことを静かに教えてくれる、とても心に残る作品でした。
プロフィール
2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。
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