2024年05月14日

母の日

88歳の母に電話をしました。

母は私が贈ったザラメのついたカステラをとても喜んでいました。
「私は本当にしあわせよ」そんな母の言葉に安心しました。
それから少しありきたりの話をしていたら
「実はね」と母が悲しい声で
「昔からの友達に電話したら息子さんが電話に出て
先週彼女が突然亡くなったみたいなの。ショックで。。。
だから、今日の貴女からの電話には救われたわ」

母も自分の死について考えたのだろうと思いながらも
明るく、励ましながら電話を切りました。

母の日は
母や家族や愛する人たちに感謝して
みんな誰もが、母親から生れてくることを意識する日なのだろうなと
思いました。
そして、

命とは何だろう。
命の概念についても考えたりしました。

命とは全ての素になる物で
そこからの力や継続するエネルギーでもあり
生命は何にも変えられない、比べられない大きな意味を持つこと
母は私の素であり
私が生きている間は私の中に存在し続ける塊みたいなもの

永遠の命という物はないけれど
必ず終わりが来るけれども

それでも母は宇宙のように大きくて
そして果てしなく私の中に存在する

今年の母の日は命について考える日となりました。

投稿者 椎名 あつ子 : 15:51 

2024年05月10日

GWも終わり日常が戻ってきています。

私は、今回は少し長めのお休みを取り
バリ島へと出かけました。

バリ島は、15年程前に家族で出かけたことがありました。
当時は子どもたちも学生で
ホテルのプールで遊んだり、ビーチで砂だらけになってはしゃいだり
バリ舞踊のケチャを観に行ったり、バリの民芸品を買いに行ったりして
楽しい思い出でした。

今回は、
私のカウンセリンルームも開設してから
来年で25周年を迎えようとしている中で
プレ25周年記念という自分へのご褒美もあり
バリ島への旅を選択しました。

リゾート地の中にあるホテルの部屋は
当日、アップグレードしてもらえたこともあり
それはそれは、素晴らしすぎる所でした。

1階の部屋の目の前は広い庭のようなプールがあり
ベランダからそのまま水の中にはいれるという作りでした。

周りにはたくさんの椰子の木や
白い麻の布の天蓋が風でなびく小屋や
レストランに行くための小道があり
その敷地の中で時間を忘れて
ただひたすら、ゆっくりと過ごしました。

この期間は何故か旅行客も少なくてプールもほぼ貸し切りのような状況でした。

私は
青く、高い空を見上げたまま仰向けになって
全身の全ての力を抜いて
水の上に身を任せて
ただひたすら浮かんでいました。

今まで見たことのない世界がそこにはありました。

少しずつ重なりながら流れる白い雲が
まるで妖精たちのようであったり

背の高い木の緑色のたくさんの丸い実から
笑い声が聞こえてくるようであったり

太陽の光が強すぎて
光と水にさらって行かれそうに感じたり

私は一体どこにいるのか

私は一体誰なのか

これからどこに向かって行こうとしているのか

分からないことだらけで

現実と幻想の境目も分からなくなりそうで

でも、

そんなことはどうでも良くて
どうでもいいことばかりで

風はひたすらそれでも吹いているし
太陽はそれでも輝き続けていて
水は私にひたすら優しい

だから

きっと

これでいい
このままでいい
ありのままでいい

だから

きっと

だいじょうぶ

そう感じる空間と時間が
そこにはありました。

私の目的地が見えたようにおもえました。

それがたとえ幻でも
ちがっていたとしても

きっと

だいじょうぶ

そんな独りよがりの旅でした。

投稿者 椎名 あつ子 : 14:22 

2024年04月09日

許すことと手放すこと

「どうにかうまくいくために、わかり合えるために
たくさんの時間を費やしてきたし努力もしてきたけれど、
妻は私の全てを憎んでいて許すことができず
私を責め続け離婚したいと言いながらも
それなのに別れようともしないのです…。」

それはある夫の言葉でした。

妻は夫の過去の行動や些細な言葉や価値観を
どうしてもどうしても許せずに
恨みや責める気持ちがいっぱいになっていました。

それでも別れない妻の心理はとても複雑でもあります。

その妻の気持ちは別れることで失うものや
直面する可能性のある孤独や不安を恐れているのかもしれません。

過去の経験やトラウマが影響している場合もたくさんあると思います。
恨みや責める気持ちは過去の出来事や
夫の行動に対する深い深い感情であり
夫がたとえ亡くなってしまっても、
それを乗り越えることは簡単ではないでしょう。

別れることがその気持ちを解消する唯一の方法とは限らないため
今の状態に留まってしまうのかもしれません。
それは、ゆがんだ形の依存になってしまっていますが
本当は夫からの承認や愛情を求めているのかもしれません。

ただ、夫にも限界がある場合があります。
男性には多くの場合、
家族という1つの城を守るため
忍耐力がある場合もありますが、それが一度切れてしまうと
妻に愛情を与えることが難しくなってしまうこともあると思います。

許すことは他者に対する怒りや恨み、過ちに対して
心の中で和解する事を指すことと思います。

そして許すとはその傷を忘れることではなく
それは負の感情を手放して心の平穏を取り戻す作業で
自己の成長へのプロレスなのかもしれません。

夫婦の問題はそれぞれの異なった性の上に成り立つなかで
ことごとく違う感覚もあり、全てわかり合えるはずもないことでもありますが、
「許す」ことでいろいろなものを手放して
軽くなって次へと歩んでいけたら、
そこには考えもしなかった満ち足りた安らぎと
優しさがあるのだと信じたいと思わずにはいられない時でした。

投稿者 椎名 あつ子 : 15:34 

2024年04月03日

桜の時

桜が咲き始めました。

今週末頃には近くの公園でお花見をしたいと思っていますが
この時期は春雨も多く、肌寒い日もあり
桜を観るタイミングがずれると
あっという間に桜の花びらが散り始めてしまったりして
淋しい気持ちになります。

それでも人は桜のひとひらの花びらを
観ずにはいられない気持ちになるのです。

桜の美しさや儚さは
いつも人との関係の深さや変化を感じる時でもあります。

桜の花が咲き誇る瞬間の美しさには
桜の花びらの舞う風や
花びらを濡らす雨や
花びらを称える光や
そして、凛とした強さの中に精一杯生きる意味や
別れの痛みや…

そんな姿は一期一会の意味や
価値を考える時間とも重なり別れや出会いを通じて
過去の繋がりを思い出させられたりするのだと思います。

昨日、昔出会った懐かしい人から連絡をいただきました。
その人はとてもとても優しくて
時に激しく、そして繊細で壊れてしまいそうで、とても可愛い人でした。

その人はいつも愛を求め、愛に疲れ
それでも愛を信じている人でした。

私は彼女を見るといつもぎゅーっと抱きしめたくなっていました。

あれから何年も何年もの月日が流れていました。

この桜の時期に、
その人が桜の香りを届けてくれたように思ったのでした。

きっときっと貴女は素敵な人になっているのでしょうね。
あの頃よりもずっと強くなって
そして、たくさんの愛を周りの人に与えて
愛を与えてもらって真っ直ぐに生きているのだと
彼女の言葉の中から感じた日でした。

連絡してくれてありがとうございました。
本当に、本当に素敵な日でした。

投稿者 椎名 あつ子 : 15:53 

2024年03月19日

ヒヤシンスの花 ~哀しみを超えた愛~

母がヒヤシンスの花の写真を送ってきました。

「去年、貴女がプレゼントしてくれた
ヒヤシンスの花を庭に植えました。
そして
可愛い花を咲かせてくれました。
生命のすごさを感じました。
可愛いです。
嬉しくて送りました。」

去年、街を歩いていて
オシャレなお花屋さんの店先に
三色入ったヒヤシンスの植木を見つけて
何故か、母にサプライズさせたくて
わざわざ車を走らせて渡しに行ったのでした。

花が咲き終わった後に
母が庭に植えておいたのが今日、
再び花を咲かせたとの嬉しい知らせでした。

今、改めて思い出してみて考えると
昨年ヒヤシンスの花を渡しに行った数週間後
母と私は突然仲違いをし、傷つけ合い
しばらくの間私は母との距離を置きました。

その間も土の中でこの花は命をあたためて
再び春の訪れと共に私と母の前に現れてくれたのでした。

「おだやかに平和にね」と白く可憐な花が伝えてくれているようでした。

この年になってもまだまだ人としても未熟で
アマチュアな私は母からのLINEの言葉に
恥ずかしくて自分が情けない気持ちになりました。
少しぼけはじめて、分からないことを言い出した母を
あの時許せなかった私がどれだけ残酷で冷たい娘だったのかと思うのです。

老い始めて訳分からないことを言い出した母を愛おしく思う前に
私がショックを受けて混乱してしまったのでした。

母との壮絶な過去と現在と未来の形と
老いの現象を受け止めて受け入れることが親への感謝と愛なのだと
やっとやっと少しずつ見えてきたところなのかもしれません。

本当に…
ヒヤシンスの花はたくさんのことを
私に教えてくれたのでした。

そして今日知ったこと、それは
ヒヤシンスの花言葉は「哀しみを超えた愛」でした。

投稿者 椎名 あつ子 : 14:02 

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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